高入気温度タイプと標準入気温度タイプの違いは?
選定時の注意点

エアードライヤーのカタログを見ていると、同じような外見なのに「標準入気温度タイプ」と「高入気温度タイプ」という2つのラインナップが並んでいることがあります。
「温度が高いほうが性能が良いのだろうか?」「自分の現場にはどちらが必要なのか?」と迷われる担当者の方は少なくありません。価格差があることも多いため、なんとなくで選んでしまうと、夏場に除湿しきれず水が出てしまったり、逆に過剰な設備投資になってしまったりするリスクがあります。
本記事では、エアードライヤー選定の鍵となる「入気温度」の考え方と、失敗しないための選び方のポイントを整理して解説します。

目次

そもそも「入気温度」とは何か

標準入気温度タイプとは?

高入気温度タイプとは?

入気温度が高いと何が起こるのか

高入気温度タイプが必要になりやすい現場

標準タイプで問題が起きやすいパターン

選定時に確認すべきポイント

高入気温度タイプを選ぶ際の注意点

まとめ

そもそも「入気温度」とは何か

入気温度(にゅうきおんど)とは、コンプレッサーから送り出された圧縮空気が、エアードライヤーの入り口に到達したときの温度のことです。
ここで誤解されやすいのが、「工場の室温(周囲温度)」と「入気温度」は別物であるという点です。空気は圧縮されると急激に温度が上がる性質があるため、コンプレッサーから出てきた直後の空気は、夏場などは60℃〜80℃といった高温になることも珍しくありません。
エアードライヤーは、この熱い空気を冷やして水分を取り除く機械です。そのため、「入り口の空気が何度なのか」は、ドライヤーの仕事量を決める極めて重要な指標となります。

標準入気温度タイプとは?

標準入気温度タイプは、比較的温度が下がった状態の空気が入ってくることを想定した設計になっています。
一般的には、入気温度が「35℃〜45℃以下」程度の条件で、もっとも効率よく除湿性能を発揮するように作られています。コンプレッサーとドライヤーの間に「アフタークーラー」という冷却装置や、大きな「エアータンク」が設置されており、ドライヤーに届くまでに空気が十分冷やされる環境に適しています。
標準タイプが多くの現場で使われているのは、適切な周辺設備があれば十分に除湿が可能であり、本体価格も比較的抑えられるためです。

高入気温度タイプとは?

高入気温度タイプは、文字通り通常よりも熱い空気がそのまま入ってくることを想定した設計です。
具体的には、入気温度が「50℃〜80℃」といった高温の状態でも、しっかりと水分を分離できる冷却能力を備えています。最近の小型〜中型のスクリューコンプレッサーなど、アフタークーラーを内蔵していても出口温度が高くなりやすい機種と組み合わせる際に重宝されます。
標準タイプとの違いは、内部の熱交換器(冷却部)のサイズや、冷やすためのパワーが強化されている点にあります。過酷な条件でも「根性で冷やしきる」ための設計思想で作られています。

入気温度が高いと何が起こるのか

もし、入気温度が想定を超えて高い状態で運用し続けると、どうなるのでしょうか。
エアードライヤーの内部では、冷媒を使って空気を冷やしていますが、入ってくる空気が熱すぎると冷却が追いつかなくなります。すると、空気中の水分を十分に結露させることができず、水蒸気を含んだままの湿った空気がそのまま出口から出ていってしまいます
これはドライヤーが故障しているわけではなく、単純に「キャパシティオーバー(能力不足)」の状態です。特に、冬場は問題なくても、周囲温度が上がる夏場だけ急に配管から水が出るようになるのは、この入気温度の上昇が原因であることがほとんどです。

高入気温度タイプが必要になりやすい現場

以下のような条件に当てはまる場合は、高入気温度タイプの検討が必要になります。

コンプレッサー出口からドライヤーまでの距離が短い:空気が自然に冷える間もなくドライヤーに入ってしまう場合。
夏場の換気が不十分な場所:コンプレッサー周囲の温度が上がりやすく、吐出温度が上昇しやすい環境。
連続して高負荷運転を行う現場:コンプレッサーが常にフル稼働していると、熱がこもりやすくなります。
屋外や熱源の近くに設置している:設置環境そのものが高温な場合。

これらの現場では、標準タイプでは夏場のピーク時に対応しきれないリスクが高くなります。

標準タイプで問題が起きやすいパターン

選定時の落とし穴として多いのが、「カタログの定格条件」だけを見て判断してしまうことです。
カタログに記載されている除湿能力は、多くの場合「入気温度35℃、周囲温度32℃」といった、比較的恵まれた条件での数値です。しかし、実際の現場(特に日本の夏場)では、この条件を簡単に上回ってしまいます。
「普段は問題ないが、特定の時間帯や季節だけ不調になる」というケースは、運用条件がカタログの想定範囲を一時的に超えてしまっているサインです。

選定時に確認すべきポイント

失敗しない選定のために、以下の3点をチェックしてみてください。

実際の入気温度を把握する

現在お使いのコンプレッサーがあるなら、出口付近の温度を実測するのが一番確実です。これから導入する場合は、メーカーに「夏場の想定吐出温度」を確認しましょう。

設置環境(周囲温度)を考慮する

ドライヤー自体の置き場所も重要です。風通しが悪く、ドライヤーが排出した熱をまた吸い込んでしまうような場所では、性能が大幅に低下します。

前段設備との関係を見る

エアータンクを間に挟むことで温度を下げる工夫ができるか、それともスペースの関係で直結せざるを得ないのか。システム全体の構成で考えます。

高入気温度タイプを選ぶ際の注意点

高入気温度タイプは頼もしい存在ですが、「とりあえずこれを選べば万事解決」というわけでもありません。
まず、標準タイプに比べて初期コストや消費電力が高くなる傾向があります。また、あまりにも過酷な環境(周囲温度が45℃を超えるような場所など)では、高入気温度タイプであっても保護装置が働いて止まってしまうことがあります。
「機械の性能で解決する」のと同時に、「換気を良くして周囲温度を下げる」といった環境改善をセットで考えることが、もっとも故障が少なく、経済的な運用につながります。

まとめ

高入気温度タイプと標準タイプは、どちらが良い悪いではなく、現場の「熱の条件」に合わせて使い分けるものです。
選定の第一歩は、自社のコンプレッサーからどのような温度の空気が、どのような環境下で送り出されるのかを正しく知ることにあります。現場の条件を無視した選定は、後のトラブルや余計なコストを招きます。
「夏場でも安心して乾いたエアーを供給し続ける」ために、入気温度という視点を持って最適な一台を選んでいきましょう。

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