電子部品製造、食品加工、樹脂成形など、多くの現場で欠かせない存在となっている オイルフリー真空ポンプ。
しかし日々の作業の中で、「最近、真空が上がりにくい」「吸着が安定しない」「どうも音が大きい気がする…」と感じることはありませんか。
真空度の低下は、吸着搬送のミスや成形不良につながるだけでなく、ライン全体の生産効率を左右します。特にオイルフリータイプはメンテナンス性に優れますが、内部部品の摩耗やフィルターの詰まりが進むと性能低下がゆっくり進行するため、気づきにくいという特徴もあります。
本記事では、現場の設備管理担当者の方から寄せられるご相談をもとに、オイルフリー真空ポンプの真空度が上がらないときの原因と、日常点検で押さえるべきポイントをまとめました。
ぜひ、日々の安定稼働にお役立てください。
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目次 |
真空度低下の仕組み
真空ポンプは大きく、
1.空気を吸い込む(吸引)
2.内部で圧縮する
3.外へ排気する
という動作を繰り返して真空を作っています。
オイルフリー真空ポンプでは、内部にある カーボンブレード が回転しながら空気を掻き出すことで真空を作る仕組みになっています。このカーボンブレードは潤滑油を使わない構造のため、摩耗や欠けが性能に大きく影響します。
あわせて、以下のような要因でも真空効率は低下します。
・ブレードやケーシング表面の摩耗
・わずかなエアリーク(漏れ)
・吸気側の詰まり
・内部への粉塵・水分の混入
・バルブ・フィルターの汚れ
真空度の低下が急に起きることもありますが、実際には少しずつ性能が落ち、ある日「そういえば上がらない…」と感じることが多くみられます。
真空度が上がらないときに考えられる主な原因
吸気フィルターや弁の詰まり
もっとも多いのが吸気フィルターの目詰まりです。
粉塵が多い現場や樹脂加工、食品工場などでは特に影響が出やすく、吸い込む空気量が不足することで真空度が十分に上がらなくなります。
あわせて、内部のチェックバルブ・逆止弁が汚れや異物で動作不良を起こすと、真空を保持できないことがあります。
内部への粉塵・水分混入
オイルフリー真空ポンプは油による潤滑や密閉がない分、異物の混入に弱い構造です。
特に、
・加工粉
・食品の微粉末
・湿気・水滴
などが内部に入ると、ブレードの動作不良やケーシングの摩耗を進め、真空度に影響が出ます。
ベアリングの摩耗・劣化
運転時間が長い現場では、ベアリングの摩耗もよく見られます。
ベアリングが摩耗すると回転が不安定になり、真空到達時間が長くなったり、振動や異音が増えたりします。
ベアリングの劣化は放置するとモーターへの負担が増え、焼き付きの原因にもなるため早期点検が大切です。
現場でできる改善策3選
日々の点検でできる範囲だけでも、真空性能は大きく変わります。
特に以下の3つは、岡谷酸素が点検で伺った際に「ここを改善するだけで回復した」というケースが多いポイントです。
吸気フィルターの清掃・交換
フィルターの詰まりは真空度低下の大きな要因です。
・月1回の清掃
・使用環境によっては2〜3か月に1回の交換
を目安に点検を行うと安定稼働につながります。
また、フィルターの状態を確認する際は、
・フィルター表面に粉が多く付着していないか
・フィルターが湿気を含んでいないか
・ケースの破損はないか
もあわせてチェックしてください。
運転音や真空計の挙動チェック
真空ポンプは性能が落ちてくると、
・「カリカリ」「ギー」といった摩擦音
・回転リズムの乱れ
・真空計の数値が安定しない
といった兆候が現れます。
これらはブレード摩耗・ベアリング摩耗・バルブの動作不良などの初期症状であることが多く、早期発見につながります。
「今日はいつもと違う?」という気づきが、故障の未然防止に大きく効果を発揮します。
使用環境(湿度・温度・粉塵)の見直し
意外と見落とされがちなポイントですが、オイルフリー真空ポンプは環境の影響を受けやすい機器です。
多湿環境 → ブレード摩耗・内部錆
高温環境 → モーター負荷増加
粉塵が舞いやすい環境 → フィルター詰まり・内部摩耗
など、環境要因だけで真空度低下が起きるケースもあります。
特に梅雨時期や夏場は湿気や温度上昇の影響が出やすいため、運転場所や吸気位置の見直しも効果的です。
修理・整備を依頼すべきタイミング
以下の症状がある場合は、内部部品の摩耗が進んでいる可能性が高く、専門業者による点検が必要です。
真空度が規定値に達しない
清掃や簡易点検をしても回復しない場合は、ブレードの摩耗・ケーシング摩耗・エアリークなどが疑われます。
特に生産ラインに関わる設備では、規定値に対して数%不足するだけでも製品品質に影響するケースがあります。
運転中に異音・異常振動がある
異音は最もわかりやすい“故障サイン”です。
・摩擦音が大きい
・回転がバラつく
・振動が増えている
といった症状がある場合は、ベアリングやブレードの損耗が進んでいる可能性があります。
この状態のまま運転を続けるとモーター故障や焼き付きにつながり、結果として修理費用が大きく膨らんでしまうこともあります。
まとめ
オイルフリー真空ポンプは扱いやすく、幅広い現場で信頼されている機器ですが、性能を維持するためには「定期整備」と「早期発見」が欠かせません。
・真空度が上がらない
・到達時間が以前より長くなった
・運転音が変わってきた
と感じたときは、早めの点検が安定稼働につながります。
岡谷酸素では、メーカーを問わず真空ポンプの点検・整備・交換提案を行っています。
現場の使用条件に合わせたフィルター交換時期や、長寿命化のポイントなどもあわせてご案内可能です。
「詳しく診てもらいたい」「一度運転状態を確認してほしい」などございましたら、お気軽にご相談ください。
皆さまの生産現場の安定稼働を、これからも全力でサポートしてまいります。