製造現場で使われるチラー(冷凍機)は、生産設備の温度を一定に保つ“縁の下の力持ち”です。
樹脂成形、金属加工、食品製造、印刷など──工程温度のわずかな変化が品質や歩留まりに直結する業種では、チラーが安定して稼働していることが前提条件といえます。
しかし実際には、「気づいたときには冷えなくなっていた」「アラームが鳴って生産が止まった」という声も少なくありません。
チラーは普段から静かに働いてくれる反面、異常の兆候が見えづらい機器です。止まってからの復旧には時間もコストもかかるため、トラブルの“前”に手を打つことが重要です。
今回は、チラーを長く安定的に使うための点検・メンテナンスのポイントを、季節ごとの注意点や岡谷酸素のサポート体制とあわせてご紹介します。
|
目次 |
日常点検で見るべきポイント
チラーのトラブルを未然に防ぐための第一歩は、「日々の運転状態を観察すること」です。
運転中の音・温度・圧力・流量・表示ランプなど、日常点検の中で見逃しがちなサインを確認しましょう。
冷却水の温度・流量
設定温度と実際の出口温度に差がある場合は、冷媒回路や熱交換器に汚れやガス漏れが発生している可能性があります。
また、流量が減っているとポンプやフィルターの詰まりも疑われます。
圧力計・電流値の確認
高圧側・低圧側の圧力値が通常範囲を外れていないか、圧縮機の電流値に変動がないかを定期的にチェックします。
小さな変化も、冷媒の不足や熱交換器の目詰まりなど、重大なトラブルの前兆であることがあります。
異音・振動・警報ランプ
「以前より音が大きくなった」「運転中に振動が増えた」といった感覚的な違いも重要な情報です。
ファンモーターやベアリングの摩耗、バランス不良など、早期対応で故障を防げるケースもあります。
警報ランプが点灯した場合は、取扱説明書の内容を確認し、記録を残しておくことが大切です。
定期整備で実施すべき主な項目
チラーには、冷媒回路・水回路・電気系統など複数の機構が組み合わさっています。
それぞれの部位を定期的に点検・整備することで、機器全体の寿命を延ばし、安定稼働を維持できます。
冷媒回路の点検
冷媒漏えいは性能低下や環境負荷の原因になります。
フロン排出抑制法により、第一種特定製品(チラーを含む業務用冷凍空調機器)は、3か月に1回以上の「簡易点検」が義務付けられています。
また、圧縮機の出力が7.5kW以上の場合は、以下の頻度で「定期点検(有資格者による点検)」を実施する必要があります。
| 出力区分 | 定期点検頻度 |
| 7.5kW以上〜50kW未満 | 3年に1回以上 |
| 50kW以上 | 1年に1回以上 |
点検結果や補修記録は、当該機器を廃棄等した後も3年間の保存が義務付けられています。
法令遵守のためにも、日常点検とあわせて記録管理を徹底しましょう。
循環ポンプ・フィルターの清掃
冷却水ラインの詰まりは、冷却能力低下やポンプ焼損の原因になります。
フィルターやストレーナーの清掃、配管のスケール除去を定期的に行うことで、流路の健全性を保ちます。
熱交換器の洗浄
熱交換器(コンデンサーやエバポレーター)は、汚れやスケールが付着すると熱効率が下がります。
熱交換効率の低下は電力消費の増加にもつながるため、年1回程度の薬品洗浄・水洗浄をおすすめします。
電装部品・制御盤の確認
リレー・端子・センサー類は経年で劣化し、誤作動や接触不良を起こすことがあります。
制御盤の清掃や端子の締め付け確認も忘れずに行いましょう。
季節ごとの注意点
チラーは年間を通して稼働しますが、外気温や湿度など季節要因により、運転条件は大きく変化します。
季節ごとの特徴を踏まえたメンテナンスが、安定運転の鍵となります。
夏場(高温期)
外気温が高くなると、冷却水や冷媒の温度も上昇し、冷却能力が不足しがちです。
特に空冷式チラーでは、熱交換器のフィン部にホコリが付着していると放熱効率が著しく低下します。
エアブローや洗浄によるフィン清掃を行い、風通しを確保しておきましょう。
また、負荷が集中する時期には冷却水の流量や温度をこまめに監視し、異常上昇があれば早めに対応することが大切です。
冬場(低温期)
冬は外気温の低下により、冷却水が凍結するリスクが高まります。
屋外配管やタンクの断熱・ヒーター設置、運転停止時の水抜きなど、凍結防止対策を実施しましょう。
また、暖気運転を行わずに急始動すると、冷媒圧力が異常低下する場合もあります。始動前の確認手順を守ることがポイントです。
岡谷酸素の保守サポート体制
岡谷酸素では、工場設備の安定稼働を支えるために、チラーをはじめとした冷凍機・エアドライヤーなどの保守・点検サービスを展開しています。
定期点検契約で安心運用
専門技術者による定期点検契約により、冷媒回路・電装部品・水回路などの劣化を早期に発見。
機器ごとの点検履歴を記録し、次回整備のタイミングも一括管理します。
法定点検やフロン排出抑制法に基づく報告書作成もサポートしています。
トラブル時の迅速対応
万一のトラブル発生時には、岡谷酸素のサービス拠点ネットワークから迅速に技術員を派遣。
現場診断から応急対応、部品交換までスピーディに対応します。
部品供給・更新提案
長期使用でメーカー供給が終了した部品にも、後継品や代替部品を提案。
老朽化が進む機器には、更新プランのご相談も承ります。
冷却能力の適正化や省エネ型チラーへのリプレースもご提案可能です。
まとめ
チラーは、止まってから修理する「事後対応」ではなく、止まる前に異常を発見する「予防保全」が何より重要です。
日常の運転状態を記録し、定期整備と季節対応を組み合わせることで、突発停止や品質トラブルを未然に防ぐことができます。
岡谷酸素では、チラーをはじめとした冷却設備の点検・修理・更新まで、トータルでサポートしています。
「最近冷えが悪い」「音が大きくなった」「法定点検をどうすればよいか分からない」など、気になることがあればぜひお気軽にご相談ください。