製造現場において、コンプレッサーから供給される圧縮空気の品質は、生産設備の安定稼働に直結します。その圧縮空気の「汚れ」を取り除く役割を持つのが、エアラインに設置される圧縮空気用フィルターです。
ところが、「差圧計の針が上がってきているけれど、何を意味するのかわからない」「エア圧が以前より不安定な気がする」というご相談が現場から多く寄せられています。フィルターの劣化や目詰まりは気づきにくく、放置するとエネルギーロスだけでなく、空圧機器の誤作動や不良の原因にもつながります。
今回は、エアフィルターの状態を示す重要な指標である「差圧」の基礎知識から、交換のタイミング、現場でできる点検ポイントまで、分かりやすく解説します。
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目次 |
差圧計が示す意味とは?
エアフィルターには、多くの場合「差圧計(差圧ゲージ)」が取り付けられています。
差圧とは、フィルターの入口側(一次側)と出口側(二次側)の圧力差のことです。
新品のエレメントは空気がスムーズに通過するため、差圧は小さく保たれます。しかし、使用を続けるうちに以下のような汚れが徐々に蓄積していきます。
・コンプレッサーから流入する水分
・オイルミスト
・工場内で発生する粉じん
汚れが積み重なるほどエレメントが目詰まりし、「空気が通りにくい状態」になります。すると入口側の圧力だけが高くなり、差圧計の値が上昇していきます。
つまり差圧は、
“フィルターがどれだけ詰まっているか”を示す健康診断結果のような指標です。
差圧の上昇を放置すると、配管の末端で圧力が不足し、機器の動作が遅くなる、電力消費が増えるなど、見えないコストが大きくなります。
フィルター劣化の主な原因
水分・油分・粉じんの付着
圧縮空気には、想像以上に多くの水分や油分が混入しています。
それらがミスト状になってフィルターで捕捉され続けることで、少しずつ内部が詰まっていきます。
また、周囲環境が粉じんの多い製造現場では、外部から吸い込んだ粒子が付着することも多く、差圧上昇を早める要因となります。
長期使用によるエレメントの劣化
フィルターエレメントは消耗品です。長期間使用するとろ材が劣化し、目詰まりしやすくなります。
外見だけでは劣化の進行が分かりにくいため、「差圧」と「使用期間」が交換時期の判断材料になります。
ドレン排出不良
フィルターに溜まった水分を排出するための「ドレン機構」が詰まると、内部に水が溜まり、性能低下や差圧上昇をさらに加速します。
特に湿度の高い梅雨〜夏場は注意が必要です。
現場でできる確認ポイントと対策
差圧計の定期チェック
差圧計の針がどの位置にあるか、定期的に記録しておくことが効果的です。
なお、レビューを踏まえ、差圧の基準値については以下が正確な表現となります。
一般的には0.1MPaを超えると交換が推奨されます。
ただし、メーカー・機種によっては0.045〜0.07MPa程度を基準とする場合もあります。
必ず取扱説明書や仕様書をご確認ください。
フィルターエレメントは基本的に“交換前提”
以前の表現で「粉じんタイプは洗浄できる場合もある」と記載しましたが、これは誤解を生む可能性があるため、明確にしておきます。
圧縮空気用フィルター(エアラインフィルター)のエレメントは、基本的に洗浄不可で交換が前提の消耗品です。
差圧が基準値以上の場合は、速やかに新品に交換する必要があります。
洗浄可能なのはコンプレッサー本体の「吸込フィルター」の一部であり、圧縮空気ライン用フィルターと混同しないよう注意が必要です。
ドレン機構の作動確認
自動ドレンの動作が正常かどうか、排出口の詰まりがないかを定期的にチェックしましょう。
ドレン不良は差圧を一気に上昇させる要因になります。
点検・交換を依頼する目安
以下のような症状があれば、専門業者への点検をおすすめします。
・差圧計の針が基準値に近づいている、または超えている
・エア圧が不安定で、機器の動きが遅い
・長期間エレメントを交換していない
・ドレンの排出が正常に行われていない
・メーカー推奨の交換サイクルを超えて使用している
フィルターの性能低下は現場で気づきにくく、知らぬ間にエネルギーロスや不良を招くこともあります。
まとめ | 差圧計は“交換サイン”を示す大切な指標です
圧縮空気の品質は、設備全体の安定稼働に欠かせません。
差圧計は、フィルター内部の状態を知らせてくれる大切な指標です。
・差圧が0.1MPaを超えたら交換の目安
・一部機種では0.045〜0.07MPaを基準とするため仕様書の確認が必須
・エレメントは「洗浄」ではなく交換が前提
・ドレン不良も差圧上昇の大きな要因
岡谷酸素では、フィルターエレメント交換はもちろん、圧縮空気の品質診断やエアライン全体の最適化提案も行っています。
「差圧の見方が不安」「どれを交換したらいいかわからない」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。
現場のエア品質を維持し、トラブルのない生産環境づくりをサポートいたします。