なぜコンプレッサーの横にドライヤーがあるの?
工場のコンプレッサー設備を見ていると、本体の横や配管の途中に「エアードライヤー」と呼ばれる機器が設置されているのを目にすると思います。
設備保全を担当するようになって間もない方からは、
「正直、何のために付いているのかわからない」
「止まっていてもエアーは出ているし、問題ないのでは?」
「点検って何を見ればいいの?」
といった声をよく聞きます。
実際、エアードライヤーは普段は目立たない存在ですが、工場の安定稼働を裏で支える非常に重要な設備です。
本記事では、エアードライヤーの役割や必要性について、できるだけ専門用語を避けながら、初心者の方にも理解しやすく解説していきます。
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目次 |
圧縮エアーに水が混じるのはなぜ?
まず知っておきたいのが、「なぜエアーに水が混じるのか?」という点です。
私たちが使っている空気には、目に見えない水分(湿気)が必ず含まれています。
この空気をコンプレッサーでギュッと圧縮すると、どうなるでしょうか。
空気は圧縮されると一時的に温度が上がり、その後、配管やタンクの中で冷やされます。
この「冷やされる」過程で、空気中に含まれていた水分が結露し、水として現れます。
これは、夏場に冷たい飲み物のグラスの外側に水滴が付くのと同じ現象です。
つまり、
・空気を圧縮する
・冷える
・水が発生する
という流れは、物理的に避けられない現象なのです。
コンプレッサーを使っている限り、圧縮エアーには必ず水が発生すると考えてください。
エアードライヤーの役割と基本的な仕組み
では、その水分をどうやって取り除いているのでしょうか。
そこで活躍するのがエアードライヤーです。
エアードライヤーの役割はとてもシンプルで、「圧縮エアー中の水分を取り除き、乾燥したエアーを供給すること」これに尽きます。
多くの工場で使われている冷凍式エアードライヤーは、次のような流れで除湿を行います。
・圧縮エアーを冷却する
・冷やすことで水分を結露させる
・発生した水をドレンとして排出する
・乾燥したエアーだけを下流へ送る
ポイントは、「水を蒸発させる」のではなく、あえて結露させて分離するという考え方です。
この仕組みによって、配管や機器に悪影響を与える水分を、エアーの段階でしっかり取り除いています。
エアードライヤーがない・故障すると何が起きる?
「多少水が混じっていても大丈夫では?」
そう思われるかもしれませんが、エアードライヤーが正常に機能していない場合、現場ではさまざまなトラブルが発生します。
配管やタンク錆
エアー配管の内部に水が溜まると、内部から錆が発生します。
この錆は配管の寿命を縮めるだけでなく、錆粉として流れ出し、バルブや機器の詰まりの原因にもなります。
製品への水分付着
エアーブローやエアー駆動機器を使用している工程では、水分がそのまま製品に付着することがあります。
・塗装不良
・錆の発生
・品質クレーム
などにつながるケースも少なくありません。
空圧機器の故障・寿命低下
シリンダー、電磁弁、レギュレーターといった空圧機器は、水分に弱い部品が多く使われています。
内部に水が入り込むことで、
・動作不良
・固着
・想定より早い故障
といった問題が発生します。
結果として、「原因がよくわからないチョコ停が増える」「修理費がかさむ」といった形で、現場にじわじわと影響が出てきます。
エアードライヤーの種類と選定の考え方
エアードライヤーにはいくつかの方式がありますが、代表的なのが冷凍式とヒートレスです。
冷凍式エアードライヤー
一般的な製造業で最も多く使われている方式です。
・消費電力が比較的少ない
・構造がシンプル
・メンテナンスしやすい
といった特徴があり、通常の工場用途であれば十分な性能を発揮します。
ヒートレスエアードライヤー
より高い乾燥度が求められる場合に使用されます。
・非常に乾燥したエアーが得られる
・精密機器・特殊工程向け
ただし、装置が大きくなりやすく、ランニングコストも高めです。
選定の際は、
・使用している機器がどれだけ水分に敏感か
・工場の使用環境(温度・湿度)
・エアー使用量
といった点を総合的に考えることが重要です。
「とりあえず付いていればOK」ではなく、用途に合った選定がトラブル防止につながります。
正しい知識で設備を守ろう
エアードライヤーは、止まっていてもすぐに大きな異常が出る設備ではありません。
だからこそ重要性が見えにくく、後回しにされがちです。
しかし、エアー中の水分は確実に設備や製品にダメージを与え続けます。
エアードライヤーは、そのリスクを未然に防ぐ「縁の下の力持ち」です。
・なぜ必要なのか
・何が起きるのか
を理解しておくだけでも、点検や上司への報告、後輩への説明がぐっとしやすくなります。
「最近ドレンが多い気がする」「エアーラインの調子が悪い」そんな小さな違和感があれば、早めの確認・相談がおすすめです。
岡谷酸素では、エアードライヤーの点検・更新のご相談はもちろん、現場の使用状況に合わせた機種選定のサポートも行っています。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。