「エアドライヤーを入れているのに水が出る」「最近、製品に水分が混入して品質トラブルが増えてきた」。
工場の現場で、こうしたお悩みの声をいただくことがあります。
圧縮空気に水分が混ざると、製品品質のばらつき、エア機器の動作不良、配管のサビ、さらには工程停止につながることも。
冷凍式エアドライヤーは、こうしたリスクを防ぐための重要な設備ですが、周囲環境や内部の状態によって性能が大きく左右されます。
本記事では、冷凍式エアドライヤーの基本的な仕組み、除湿性能が落ちる主な原因、そして現場でできる改善策や点検のポイントを解説します。
「どこを確認すればいいのか分からない」「最近水分が増えてきている気がする」という担当者の方に、ぜひ参考にしていただければと思います。
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目次 |
エアドライヤーの仕組みと乾燥の流れ
冷凍式エアドライヤーは、圧縮空気を冷却することで空気中の水分を凝縮させ、ドレンとして排出する装置です。
乾燥の流れは大きく次の3ステップで構成されています。
01.圧縮空気を冷やして水分を凝縮
冷媒ガスが循環する熱交換器で、圧縮空気を一気に冷却します。
空気が冷えるほど含める水分量が減り、余った水分が液体として分離されます。
02.凝縮した水分をドレンとして排出
集められた液体は、ドレン弁によって定期的に排出されます。
この排出が正常に行われていないと、内部に水が溜まってしまい、除湿性能が著しく低下します。
03.乾燥済み空気を適温まで戻し、配管の結露を防止
過冷却を防ぐため、熱交換器を通じて再び適温まで戻し、後段の配管での結露を抑えます。
このように「冷やす → 分離する → 排出する」というサイクルで乾燥が進みます。
逆に言えば、冷却・凝縮・排出のいずれかが滞ると、すぐに水分トラブルにつながります。
水分が出る主な原因
実際の現場で水分が混入する原因はさまざまですが、以下の要因が特に多く見られます。
湿度が高い・冷却不足
梅雨や夏季など湿度が高い時期は、圧縮空気自体が多くの水分を含みます。
そのため、ドライヤーの能力が限界に近づき、水分除去が追いつかないケースがあります。
また、吸込み温度の上昇や設置環境の温度が高い場合も要注意です。
冷凍式エアドライヤーは、一般的に周囲温度 2〜40℃ を推奨としており、熱がこもりやすい機械室では性能が大きく低下します。
さらに、40℃に近づくと除湿性能が低下し、40℃を超えると急激に性能が落ちるため、周囲温度の管理は非常に重要です。
冷媒ガス漏れ・不足
冷媒が不足すると、熱交換器の冷却能力が大きく低下します。
それにより露点が上昇し、除湿性能が落ちてしまいます。
冷媒回路の異常は外観や音で判断しづらいため、“水が出始めてから異常に気づく”ことも多く、定期点検が欠かせません。
熱交換器やドレン弁の詰まり
製造現場では、粉じん・油煙・ホコリが発生しやすく、これらが熱交換器に付着すると冷却性能が低下します。
また、ドレン弁の目詰まりも要注意です。
本来排出されるべき水が滞留し、後段の配管へ逆流することもあります。
「ドレンが出ていない=水がない」ではなく、“詰まって出ていない”可能性を常に考える必要があります。
設置環境の熱こもり・通風不足
壁に囲まれた狭いスペースや、機械が密集した部屋では、機器の廃熱がこもりやすくなります。
冷却ファンが取り込む空気がすでに高温のため、熱交換が不十分となり、水分除去能力が低下します。
現場でできる改善策3選
日常点検の中で改善できるポイントをまとめました。
周囲温度・通風の改善
・ドライヤーの周囲に物を置かない
・機械室の換気を改善する
・空調の増設を検討する
など、通風を確保するだけでも除湿性能が大きく変わります。
冷凍式エアドライヤーは“熱を逃がすこと”が性能の維持に直結します。
ドレンの動作確認・清掃
以下の兆候があれば、ドレン詰まりの可能性があります。
・排出音がしない
・排出の間隔が極端に長い
・水がたまっている
定期的にフィルター清掃や動作のチェックを行うことでトラブルを防げます。
コンデンサー(凝縮器)や熱交換器の清掃
ここにホコリや油分が付着すると放熱が妨げられ、冷媒の冷却能力が落ちてしまいます。
・エアブロー
・フィンの清掃
・油汚れの洗浄
これだけで性能が大幅に回復することもあります。
点検・修理を依頼すべきサイン
次の症状が見られた場合は、専門点検のタイミングです。
ドレンが正常に排出されない
水が溜まっている・排出音がしないなどの場合、内部に滞留している可能性があります。
冷却ファンの停止・異音
ファンモーターの劣化やベアリング不良が考えられ、そのまま放置すると冷媒回路に影響が及ぶこともあります。
露点の上昇
露点計が高くなるのは、除湿性能が落ちている確かなサイン。
早めに点検することで故障の予兆を見逃さずに済みます。
まとめ | “冷えない・乾かない”は早期点検がカギです
冷凍式エアドライヤーは、工場の製品品質を支える“縁の下の力持ち”です。
しかし、周囲温度・通風・冷媒・ドレンの状態など、さまざまな要因で性能が低下しやすく、放置すると重大なトラブルにつながります。
・水分が多い
・露点が上昇している
・ドレンの排出が不安定
こうした変化が見られたら、早めに点検をご検討ください。
岡谷酸素では、エアドライヤーを含む空圧機器の点検・修理・改善提案も対応しております。
「原因が分からない」「現場の状況を見てほしい」などのご相談もお気軽にお問い合わせください。