ガス溶接に使う酸素の充填圧力は35℃で14.7MPa、アセチレンは15℃で1.5MPaと定められています。この違いはガスの性質に由来します。
酸素・アセチレンを使用するガス溶接は大正の頃から使われるようになり、便利な一方で事故が多発しました。これらを規制する目的で昭和26年に「高圧ガス取締法」が制定され、次の4条件のものを「高圧ガス」と定義されました。
① 圧力が10kg/cm2以上の圧縮ガス(35℃で10kg/cm2となるものを含む)
② 圧力が2kg/cm2以上のアセチレンガス(15℃で2kg/cm2となるものを含む)
③ 圧力が2kg/cm2以上の液化ガス(35℃以下で2kg/cm2となるものを含む)
④ その他政令で定めるもの
当時、酸素は46.7 Lの容器に150 kg/cm2の圧力で7 m3(ガスの重量が丁度10 kg)
で扱われていましたが、メートル法の施行およびSI単位の採用により高圧ガスの定義も
① 10 kg/cm2 → 1 MPa
②、③ 2 kg/cm2 → 0.2 MPa
となりましたが、従来の容器に過充填はできませんので、14.7 MPaとなりました。
アセチレンは圧縮するとその圧縮熱により爆発する危険なガスです。
今では「溶解アセチレン」といい、容器内の薬品に浸み込ませて安定化させて
います。酸素と同じ基準では取り扱えないことから別に定義されています。