CO2/MAG溶接では、使用するAr-CO2混合ガスの種類とワイヤの径によってスパッタが多く発生してしまう溶接電流域があります。これは、図で示すように、溶滴のドロップ移行領域とスプレー移行領域の中間にあたる遷移領域です。この範囲は使用する混合ガスのCO2比率によって変化します。(図1)
パルス溶接は、ベース電流とピーク電流とを一定周期で切り替えて溶接する方法で、高機能の溶接機では、アップスロープ、ダウンスロープを細かくかつ正確に制御し、スパッタの発生を非常に少なくすることができるようになりました。1回のパルスで1個の溶滴が規則的に移行する1パルス-1溶滴移行が行われるようにした場合、
・溶滴は主に高電流となるピーク電流で形成されるため、過度に溶滴が成長することがなく短絡が起こりにくくなります。
・ベース電流期間でアークカが低下するので、溶滴がスムーズに移行しやすくなります。
・ベース電流のときに短絡が生じても、電流が低いため、アーク力による溶融金属の飛散が少ないので、スパッタの発生量を低減することができます。(図2)
スパッタの発生は、パルス周波数に影響されます。パルス周波数(1秒間のパルス回数)を変えると、ある周波数で極小値周波数域があり、スパッタの量を大幅に低減することが可能になります。ただし、この周波数は、使用するワイヤや平均電流等によって異なるため、適切なパルス条件を検討することが必要です。(図3)