フラックスコアードワイヤ(FCW)とソリッドワイヤの特徴

フラックス入リワイヤには、MAG/CO₂ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤとセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ、サブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤの3種類に大別されます。セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、その溶接方法から「ノンガスワイヤ」と呼ばれる事が多く、サブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤも用途のほとんどが肉盛溶接に限られるため、ここでは一般的に「フラックス入りワイヤ」と呼ばれているガスシールドアーク溶接用のフラックス入りワイヤ(以下FCW)についてお話いたしますね。

代表的な軟鋼・高張力鋼用FCWについて

フラックス入りワイヤは、フラックスコアードワイヤ、単にコアードワイヤと呼ばれ、その名の通り内部にアーク安定剤・合金剤・脱酸剤等を充填したものです。要するに、被覆アーク溶接棒を逆にした構造といえば、イメージが湧いてきますね。特性・種類に応じて様々な形状のFCWがあります。(図1)

現在では、メーカーが最も開発に力を入れている分野で、種類も大変多くなっています。アーク溶接材料中の使用比率で30%を超え、ソリッドワイヤに次ぐ2番目の品種構成比になっています。FCWの一般的特徴は次のようになります。

・ビード外観が美しい。
・溶着速度がソリッドワイヤに比して大きい。
・スパッタの発生が極めて少なく、大きさも小さい。
・含有剤により様々な種類・特長のワイヤが製品化される。

FCWの溶着速度は同一電流で比較した場合、被覆アーク溶接棒より50~60%、ソリッドワイヤより10~20%高くなっています。(図2)


これは、FCWの溶接電流が、外側金属部に集中するのでワイヤ突き出し長さ部分の熱量がソリッドワイヤに比較して増加するために、高溶融速度の特性が生じているためです。

ソリッドワイヤによる中~大電流域での炭酸ガス100%での溶接においては
CO2→CO+O
によって生ずる分解熱のため、溶融池から反力が作用し、溶滴がなかなか滴下せずにワイヤ径よりも大きい粒になってしまうため、滴下時に溶融池から跳ね返った金属粒、つまりスパッタの発生が問題となりますが、FCWは含有成分により反力が減少し溶滴移行がスプレー化されるため、スパッタの発生が極めて少なくなります。

Ⅰ ルチール系(スラグ系)FCW

1980年頃にφ1.2の軟鋼・高張力鋼用「スラグ系FCW」が開発され船舶分野にて使用が拡大されました。その理由は船舶分野では、溶接姿勢が下向・横向とは限らず、立向・上向姿勢の溶接も多いため、ソリッドワイヤによるマグ溶接では作業効率が上がりませんでした。この、「スラグ系FCW」はTiO2(酸化チタン)をベースにSiO2(酸化ケイ素)ZrO2(酸化ジルコニウム)などのスラグ形成剤、Mn(マンガン)・Si(シリコン)など脱酸剤、アルカリ酸化物などのアーク安定剤の配合により、溶接後にスラグがビード表面を覆うため、全姿勢溶接が可能で溶着速度も高いため、高能率高効率化が図られ、大幅に溶接コストの低減につながりました。ビード外観、形状も良好で、全姿勢溶接用のFCWとして広く使用されています。

Ⅱ メタル系FCW

1985年頃には「メタル系FCW」が開発されます。これは、スラグ形成剤をほとんど含有しない代わりに鉄粉を含有することにより、ソリッドワイヤ並みの低スラグ量ながら、低スパッタの特性と、溶着速度をさらに大きくした物で、特に高能率の下向溶接に適しています。1990年以降ではプライマー(1次防錆塗料)塗布鋼板でも、アーク熱によって生成するガス(H₂・COなど)や金属蒸気(Zn)において気孔が発生しにくい耐プライマー性の下向き・すみ肉用FCWが実用化され、自動化・ロボット化の進展と共に船舶以外あらゆる分野にも広まっていきます。

ステンレス鋼用FCWについて

ここ数年、ステンレス鋼がその優れた特性から各種工業分野で広く適用されており、これらの溶接も多くなっております。
溶接方法としては前述の軟鋼・高張力鋼の溶接と同様に、被覆アーク溶接、ティグ溶接、サブマージアーク溶接、半自動ガスシールドアーク溶接が適用されていますが、ビード外観の良好さ、手持ちの半自動炭酸ガスシールドアーク溶接機からワイヤを交換するだけの手軽さ、および作業効率の高さからとりわけFCWの適用比率が高いのが特徴です。全ステンレス溶接材料中の約50%近くを占めています。

性能上の特徴としては先の軟鋼・高張力鋼用のFCWと同様ですが、ステンレス溶接は薄板が多いため低電流域で溶接するケースが多いので、0.8 mmから製品化されています。しかし、最近はFCWの改良や溶接電源の進歩(デジタル機の登場)により使用電流範囲が広くなり、従来の細径ワイヤの電流域をより安価な太径のワイヤでもカバーすることが可能になってきており、溶接コストの低減につながってきています。

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