炭酸ガスについて

環境問題

【液化炭酸ガス、ドライアイスって悪者?】

昨今の地球温暖化問題から「炭酸ガス」と聞くと、「温室効果ガス」といった悪者にしか見られない事が多いような気がします。しかし、一般的に液化炭酸ガスやドライアイスとして利用されている「炭酸ガス」は、石油化学・石油精製などの副生ガス(余分なガス)を回収し、液化炭酸ガス・ドライアイスに適するよう、不純物を除去、精製したガスです。つまり、本来大気に放出されるものを回収し、使用しています。炭酸ガスを新たに製造していることはなく、有効利用しているのです。

【炭酸ガスって何?】

炭酸ガスは、「二酸化炭素」「CO₂」とも呼ばれ、もともと私たちにとってとても身近な存在です。私たちが吐き出す息にも含まれていますし、物を燃やした後には必ず発生するものです。また、光合成に利用されるなど植物の成長には欠かすことができません。後述する通り、私たちの生活や工業用途としても多分野で利用されています。

【炭酸ガスの性質は?】

・炭酸ガスは不燃性で空気より重く、水に溶けやすいです。
・常温常圧では無色無臭の気体ですが、温度と圧力条件下により固体、液体、気体に状態が変化します。圧縮して冷却すると気体は液体になり、また、液体は固体のドライアイスに姿を変えることができます。
・液体から気体になると容積は約500倍に膨らみます。固体(ドライアイス)は密度が液体の1.5倍なので、固体が気体になると約750倍に膨らみます。
・高濃度の二酸化炭素を吸入すると、意識不明、昏睡という障害を引き起こします。また、低温により凍傷を引き起こす恐れがあるため、取扱いには十分注意が必要です。

【供給形態は?】

供給の仕方としては、塗装が緑色のボンベで供給します。ボンベには、一般容器(気体取出)とサイフォン容器(液体取出)があります。一番出回っているのが、内容積40リットルで27㎏(30㎏)入りの容器です。中身は酸素や窒素のようにガスの状態ではなく、液体の状態で入っています。また、使用量に応じて、可搬式では一番大きいサイズの容器(LGCや45Gと呼ばれています)があり、内容積175リットル160㎏入りがあります。他にも、自動販売機やビールサーバーで使用している小瓶で7㎏入り、5㎏入り等の容器もあります。さらに大きなものは、酸素や窒素同様にタンク(CE)等もあり、用途や使用量に適した容器やタンクに充填され使用されます。
炭酸ガスは、これらの容器やタンクに通常は液体として充填され、用途により気体、または、液体で供給されます。気体を大量に使用する場合には、気化器で液体を温めて気化させ、気体にして供給します。炭酸ガスは、容器に元々液体で充填されているため、酸素や窒素のような気体のガスと比べ、一般容器からLGC(45G)にした際、容器本数の削減という供給メリットが少ないガスの1つでもあります。

【炭酸ガスの使用用途は?】

炭酸ガスには、様々な用途があります。一部ですが紹介いたします。

《溶接》
溶接部分を炭酸ガスで覆うことで外気(空気)をシャットアウトします。その為に強度が高く、同時に美しい溶接が可能になります。

《不活性ガスとして》
タンクやタンカーのパージガス。

《加圧剤として》
エアゾール、消火器の噴射剤に。

《消火剤として》
水や消火剤の使えない電算室や変電室の消火設備として。

《冷却用として》
液化炭酸ガスは、大気に一気に放出すると約マイナス79℃の雪状ドライアイスと気体炭酸ガスになります。これを利用して、工業用冷却剤として利用します。ゴムのバリ取り。冷却・粉砕。

《鋳造用として》
鋳型砂に添加した珪酸ソーダと炭酸ガスを反応させ、鋳型砂の強度増強に使用します。

《ダム建設施設のアルカリ排水の中和処理》
ダムやトンネル工事の際の大量のコンクリート打設時に出る排水は、アルカリ性が強くそのまま排水することができない為、炭酸ガスで中和してから排水します。

《炭酸飲料、キャンデーなどお菓子類》
生ビールを樽からおいしく出すために、炭酸ガスが使用されています。

《高温高圧下で天然の香料や色素などの成分を、壊さずやさしく取り出す》
炭酸ガスが作り出す超臨界状態下で香料などの各種物質を抽出すると、特定の物質の抽出が可能になったり、溶媒の残留を心配することなく抽出することができます。

《その他》
土木の場合の土壌凍結、水道管工事のための凍結止水、低温試験、医療用、ガス包装、豚やブロイラーの屠殺前に使用、舞台演出用白煙、柿の渋抜き、切花の保存、穀物の長期冬眠保存、害虫の酸欠による殺虫、農産物等の開花時期の調整。ドライアイスとしていろいろな分野で使用されております。

【注目されている炭酸ガスの用途】

①人工炭酸泉
炭酸ガスが溶け込んだ状態で天然に湧き出た温泉のことを天然炭酸泉といいます。
炭酸ガスは、高温のお湯には溶けにくいという性質があることから、温度が高い日本の温泉には天然炭酸泉は少ないのですが、高温水に炭酸ガスを溶かす特殊技術が開発され、人工的に高濃度炭酸泉を作る装置が誕生いたしました。
炭酸泉には、血管を広げる効果や保温力倍増効果があり、現在では、病院・医療機関だけでなく、介護施設や温浴施設、エステティックサロン、フィットネスクラブなどで導入され、病気治療に留まらず、美容や健康目的として利用されています。

②促進栽培施肥
光合成による消費で不足しがちな温室内に、高純度炭酸ガスを供給することにより、果物の糖度を上がり、収量の増大につながります。また、半導体工場のようなクリーンルームでの無農薬栽培にも利用されています。

③ブラストクリーニング
ペレット状・パウダー状のドライアイスを、対象物へ吹き付けて、樹脂やゴムなどのバリの除去や、精密部品の細かい隙間の洗浄を行います。母材を傷つけることなく、洗浄することができます。

④料理
泡状の『ムース』でデザートや料理に、華やかな演出を!!

【液化炭酸ガス、ドライアイスを安全に扱うために】

・炭酸ガス、ドライアイスは窒息性が有ります。昔、ライトバンにドライアイスを積んでひと晩経ち、朝乗ったところ息苦しく、ふらついた覚えがありますのでくれぐれもご注意を。取り扱い時は、換気を充分に行ってください。

・圧力と低温にもご注意を。ドライアイスはマイナス79℃で、常温大気下では常に昇華(固体→気体)しています。よって、気密性のよい密閉されたクーラーボックスやペットボトル等での保管は、内圧が上がり爆発の可能性があるため要注意です。また、扱い時には必ず手袋を使用してください。

・炭酸ガスボンベも他のガス同様、保管は40℃以下でお願いします。特に、夏場 など暑い時には、直射日光にさらされると内圧が上がり、容器の破裂板が作動しガスが一気に放出されます。この場合、中のガスが全て抜けるまで放出が続きます。白煙と共に「シャー」と大きな音がしますので、近隣の方から「ガスが爆発している」と消防や警察に通報されてしまった経験がある方もいらっしゃるのでは?

【炭酸ガスの今後の課題と展望について】

炭酸ガスは、自然界で大気の一成分として現在は約0.035%存在しています。産業革命以降の石炭や石油などの化石燃料の膨大な燃焼や、森林伐採などの環境変化により近年増加傾向にあります。このため、各分野で様々な削減手段が検討され、実行されています。現状では国内の産業におけるCO₂総排出量11.6億トンに対して、液化炭酸ガスおよびドライアイスの生産量は約100万トン(0.01億トン)、比率にして0.09%と、ほんの一部しか有効活用されていません。
今後は新たに炭酸ガスを発生させず、大気中に放出されて存在するCO₂を更に回収し、有効利用することで産業発展と環境保全の両面に貢献することが重要です。
前述の通り用途は様々で、炭酸ガスの可能性はまだまだ未知数。今後も、活躍の場は多種多様な分野に広がっていくことでしょう。

「高圧ガス」についてよくあるご質問

岡谷酸素が選ばれる理由

  1. 対応力

    私たちは、地域の生活を支える会社として
    お客様のあらゆるご要望に耳を傾け
    すばやく対応することを大切にしています。

  2. 暮らしをフルサポート

    ガス以外にも、電気、太陽光、リフォームなど
    地域に密着したサービスを展開しており、
    地域を支える企業として暮らしをサポートしています。

  3. 安心・安全

    長年地域インフラを支えてこられたのは、
    安心・安全を第一に考えているから。
    高い技術を持った多くの資格取得者が
    在籍しています。